鳥類の糞便検査で見つかるもの
鳥さんの健康診断では糞便検査を行います。
今回は、糞便検査でどんなものが検出されるのかをお話しします。
1、マクロラブダス(メガバクテリア)
これは鳥さんを飼われている方の中で有名な病原体なのではないでしょうか。
カビ・酵母の仲間で多くの鳥類の胃に感染し、胃炎を引き起こします。
セキセイインコさんでの検出率は高く、一時期はペットショップでお迎えした子の8割が持っている病気でした。最近は減少傾向はありますが、それでも検出率は高い病原体です。
今でもセキセイインコさんではトップレベルの死因になる病気です。
若いうちは元気な子では無症状なため見逃されてしまうことも多く、3−4才になってから強い吐き気と薬の効きにくい胃癌を引き起こす厄介者です。
海外では不治の病とされていますが、日本の株では黄色い抗真菌薬(アムホテリシンB)で治療が可能だとされています。また注射薬(ミカファンギゾン)も効果的とされています。
検便での検出率は8割程度なので若いうちに数回検便をすることで確実に持っていないことを証明するか、遺伝子検査で確定させる必要があります。
2、コクシジウム(イソスポラ症)
ブンチョウさんなどのフィンチ属でよく検出される寄生虫の一種です。
腸管に感染しているうちは、軟便や軽度の嘔吐などの腸炎の症状で済みますが、肝臓に入り込むと途端に調子が悪くなり、急死することがあります。
コクシジウムも寄生数が少ないと検出されない可能性があるので、若い個体では複数回の健康診断/検便が推奨されます。
コクシジウム↓
また花粉と似た形をしており、慣れていないと区別が難しい場合があります。
花粉↓
ST合剤やトルトラズリルという抗生剤が効くので早めに検出して退治することが重要です。
3、ジアルジア
セキセイインコさんなどでみられる寄生虫です。
症状は白色便などで本人への害は少ない傾向があります。しかし重度寄生をしている場合は腸炎を起こし体重の減少や食欲不振、嘔吐を起こすこともあります。
他の寄生虫と違い自分の力で泳いでいくので検出は容易ですが、シストという卵やサナギのような休眠状態に入るので薬が効きにくくしつこく残ることがあります。
またメトロニダゾールという薬を使いますが、かなり苦いため投薬が難しいこともあります。
今回紹介したのは有名な便中の病原体です。
これ以外にも菌のバランスなどを考慮し健康状態の判断をしています。
どの病原体も発見が遅れると重症化することが多く、お家にお迎えして本人がお家に慣れたら早めに検便等の健康診断を受けることが大切ですね。