【獣医師コラム】日光浴と紫外線がエキゾチックペットに与える影響

豊橋小松病院 鳥エキゾチックペット医療センター 獣医師 曽我

強い紫外線と動物への影響

最近は暑い日が続き、30分外に出るだけで真っ赤に日焼けしてしまうほど紫外線が強くなっています。人間にとっては日焼け対策が欠かせない季節ですが、ではペットにとって紫外線はどのような影響を及ぼすのでしょうか。

エキゾチックペットや鳥さんは室内で飼われることが多いため、これまで大きく研究されてきた分野ではありませんでした。もともと動物たちは被毛や羽に覆われているため、紫外線による皮膚炎(日焼け)はあまり起きません。そのため「日光浴=体に良いもの」として語られることが多いのです。

紫外線が目に与える悪影響

しかし近年の研究では、紫外線が目には悪影響を与えることがわかってきました。特に鳥さんやうさぎさんでは寿命が延びたことで白内障の発症が増えており、特に白色の個体ではその影響が強く出やすいとされています。

紫外線はビタミンDの合成など一定のメリットがあると考えられてきましたが、実際にはサプリメントや食餌で十分に補うことが可能です。

概日リズムと日光浴の代替手段

また、太陽光は「概日リズム(体内時計)」を整えるために重要とされています。しかし実際には蛍光灯などの人工照明でも十分に効果があることがわかっています。無理に強い日差しに当てる必要はありません。

屋外に出すリスク

さらに、外に出すことで害獣や野鳥に襲われるリスク、ダニや蚊による感染症の危険も高まります。実際に愛知県内でも猿やイタチによるペット被害が報告されており、日光浴がかえって危険につながる可能性も否定できません。

最新の考え方

このように、最新の知見では「強い紫外線によるメリットよりもデメリットの方が大きい」と考えられています。そのため、当院では日光浴は基本的に不要、行う場合も短時間にとどめるようご案内しています。

鳥さんやうさぎさんに関する研究は年々進んでおり、飼育や医療の常識も進化しています。今後も最新の情報をわかりやすく発信していきたいと思います。